デンカラのトップ絵

月のイラスト

「2011年6月」


僕にしては珍しく、雨の青はとても悲しくて、冷たい色。

絵は、常に楽しくて鮮やかで幸せであるもの。と思っている僕にとって、

泣き顔は、馴染ませたくないものでもあります。

出来るなら、ずっと笑っていて欲しい。

亡くした人の顔さえ、思い出す時はいつも笑顔ばかりなのだから。

だけどもし、泣かずに済ませようと外面を整え続ける事が必要なら、

此処でだけは泣いて良いよと言ってあげるのも、僕と絵達の役目、のような気がします。


実体験として、本当に悲しい時って逆に泣けないもの、なんですよね。

それよりも喪失感や空元気の方が前面に出てしまうから。

余震の頻度も減り、徐々に日常が見えてくる中で、きっと泣きたい事も見えてくる。

頑張らなくて良いのだと、自分に許してあげられたらどんなに楽なのだろう。

それでもまだ、前を向き続けるというのなら、

せめて泣いても良いのだと、言ってあげたいと願う。

ああ、どうかこの雨が、誰かの涙を隠してくれる様、祈ります。


英訳は、「零れる心を、今だけは」。